社会問題部門では、二〇一八年二月二十二日(木)、教区同朋会館(広島)において、「ハンセン病の歴史と大谷派の願い」をテーマにハンセン病問題学習会を開催した。
講師は、田村朋久氏(長島愛生園歴史館学芸員)と中杉隆法氏(社会問題部門副部長・神戸組西林寺)。
まず、田村氏から、ハンセン病の感染力は極めて低く、現在の日本の環境では発症もほぼないというハンセン病の概要と歴史、また、映像を使い長島愛生園の現状を、わかりやすくお話いただいた。続いて、中杉氏から、山陽教区のこれまでの歩みや願いについてお話しいただいた。
休憩を挟み、講師二名に寺川正道氏(社会問題部門・安芸南組萬休寺)をコーディネーターとして加え、参加者からのアンケートをもとに対談が行われた。入所者の生きがいの喪失ということが以前から問題になっており、田村氏から「文化活動や宗教活動に生きがいを求める方もおられるし、療養所を訪ねてこられる若い人たちがハンセン病問題を学び、差別のない社会を願って立ち上がってくれるということに、これまでの人生が無駄ではなかったと感じると語られる方もいらっしゃる」。そして中杉氏からは「入所者の高齢化が進み、交流できる時間は今しかない。入所者一人ひとりと丁寧に出会ってほしい」という話があった。
かつて、国は「らい予防法」を根拠に、官・民両側からハンセン病の撲滅を掲げて、強制隔離を行った。真宗大谷派もこの流れにのり、一九三一年に大谷派光明会を作り、強制隔離を後押しした。その後、宗派はそのあやまちを反省し一九九六年「ハンセン病に関わる真宗大谷派の謝罪声明」を出し、隔離からの解放を歩んでいる。強制隔離が何を奪い、何を生み出し、そして、いま本当の意味での隔離からの解放とはいったいどういうことなのか。かつては聞くことのできなかった入所者の声を、いまは少しずつ聞き、知ることができる。この問題は、決して過去の問題でなく、今も続く問題であるとあらためて気づかされた。
(社会問題部門 湯朝良尚)