おしらせ(全ての方へ)

 2024年度山陽教区 教区会・教区門徒会(通常会)挨拶要旨               

山陽教務所長 加藤 真樹

1 はじめに

皆様には平素より、同朋会運動の推進並びに宗門・教区の運営にあたり、格別のご高配を賜っておりますこと衷心より御礼申しあげます。

先だって、宗派にとって史上最大級の被災となった令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、苦難の生活を余儀なくされている方々に対し、心よりお見舞いを申しあげます。一日も早い日常の回復を切に願うことであります。

教区の皆様方には多くの救援金を寄せていただき感謝申しあげます。引き続き、息の長い支援に取り組んでまいりたくご協力をお願い申しあげます。

【2025年7月山陽四国教区の発足に向けて】

 本年7月に長浜教区並びに京都教区が改編され、新「京都教区」が発足し、全国19教区にて今年度がスタートしました。能登・金沢教区は 震災の影響もあり、発足時期については今後慎重に検討が進められることとなっております。

私たち山陽教区では、明年2025年7月の山陽四国教区の発足に向けて、新教区準備委員会(教化・組織・財務の三つの小委員会を設置)並びに教区の諸機関にて協議が重ねられております。

 このたび、当委員会の一年間にわたる協議内容が「中間報告」としてまとめられました。年度初めの各組巡回において、「中間報告」に対するご意見ご質問を頂戴し、さらに協議を重ねたく存じます。そして、2025年春開催予定の当委員会において、新教区発足に係る諸事項を議決いただきます。その後、2025年5月開催予定の教区会並びに教区門徒会(両教区による合同会)において、当委員会の議決事項を報告のうえ、新教区発足時の正副議長、正副門徒会長をはじめとする役職者を決定いただきたく思っております。今年度末には、本山宗会において、山陽四国教区を正式に発足させるための議案が提出される運びとなりますので、今後のスケジュールについてご理解ご協力の程よろしくお願いいたします。

なお、坊守会をはじめとする所属団体の皆様におかれても、改編に向けて鋭意協議を進めてくださっております。深く感謝申しあげますとともに引き続きのお話し合いをよろしくお願いいたします。

2 中央宗務の方針と施策

  • 2024年度の本山の宗会における木越渉宗務総長による演説の項目です。
  • ❶【宗門存立の本義の受け取り直し】
  • ❷【同朋社会の受け取り直し
  • -根源的回帰の教示】
  • ❸【宗憲改正のいたみ】
  • ❹【同朋社会の顕現に努める具体性】
  • ❺【声を聞き、声〈御名(みな)〉に生きん】
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  • 演説の最後の箇所を引用いたします。
  • <演説一部抜粋>

「同朋社会の顕現」という言葉の背景にある「いたみ」。それを再確認する必要がある。すなわち 「声を聞き、声に生きる」とは、「声を聞き、御名に生きる」ことであります。この一点が私ども一人ひとりの主題にならない限り、同朋社会が顕現するということは無いのであります。そのように祖師先達は教えてくださっています。宗門には、現に重たい課題、難しい問題がありますが、どうか共に、「仏願の生起本

末」を聞いてまいりましょう。一体なぜに、この自分に南無阿弥陀仏が届けられているのか。その「いわれ」に耳を澄ませることを、あらゆる宗門活動の根底に堅持いたしましょう。そして一つの行事、一つの数値、一つの文章の奥に、どのような「声なき声」があるのか、背景があるのか。そうしたことを分かったことと済まさずに、静かに耳を傾けてまいりましょう。私はそれが「教団を尽くす」ことであり、願われる宗門の形をつくっていく確かな一歩であると思います。相共に南無阿弥陀仏の「すがた」を一生かけて尋ねていく。そのことをもって「同朋社会の顕現」、宗門存立の本義を現代に表さんと念ずる次第であります。

  • ※全文は、宗派ホームページ・『真宗』誌2024年7月号・『同朋新聞』2024年8月号でお読みください。
  • あらためて、「同朋社会の顕現」とは何か。寺院・組・教区の姿、私自身の姿はどうなのか。点検を怠らぬようにしなければならないと感じております。
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  • 【2024年度の主な宗派の施策】
  • ❶宗務改革

2024年4月23日に宗務総長に提出された「行財政改革検討委員会報告」(宗派ホームページ並びに『真宗』誌2024年8月号に公開)の趣意を体として、具体的な検討を進めてまいります。物事の重要度や優先順位等を見定め、順次でき得ることから着手してまいります。

  • ❷是旃陀羅問題の課題共有

この「問いかけ」は、浄土真宗に生きんとする我々一人ひとりにとって大変重要な課題であります。正依の経典である『仏説観無量寿経』において、宗門が、僧侶が、差別を助長する解釈をしてきた責任を非常に重く受け止めております。全寺院に配布しております学習冊子やテキストを輪読して学び合うこと自体が、かつて宗門の教学教化の基盤として、全国各地に数多点在した「自主学習会」を再興していく取り組みにもなることを願っています。その呼びかけを担っていただく人の養成を図るとともに、補助教材等の充実にも尽力してまいります。

  • 【経常費御依頼などの減額措置】

令和6年能登半島地震による被災の影響は甚大であり、その影響に鑑み、能登教区を中心とした被災教区4教区において総額1億1,349万円の減額措置がなされました。このたびの減額措置においては、他の教区への按分を行わないことが内局により判断されました。

全体としましては、2020年度から昨年度まで実施されてまいりましたコロナ下の影響に鑑みた減額措置につきましては、昨年度末をもって廃止されました。併せて、これまでの教区改編により成し遂げられた経費削減に鑑み、昨年度同額の総額1億3,502万円の減額措置が講じられました。その他改編実施教区に対する減額措置総額3,431万円を合わせ、全国19教区に対し、昨年度に比し1,682万円減の50億2,018万円で御依頼がなされました。

【第4回門徒戸数調査継続点検の実施】

 2022年2月に実施されました第4回門徒戸数調査について、このたび、中央門徒戸数調査委員会より、継続点検の実施並びに報告の依頼が全教区になされました。

 本継続点検は、2027年に実施予定の第5回門徒戸数調査に向けて、改めて各寺院のこれまでの数値の変遷をお示しして、各寺院の現状を把握いただくことを目的に実施されます。

 本年10月頃に教区門徒戸数調査委員会を開催し、その後各寺院宛に継続点検の実施についてご連絡いたしますので、何卒ご協力の程よろしくお願いいたします。

3 教区教化について

【2024年度教化方針】

現教化委員会は任期2年目を迎えたことですが、明年7月の新教区発足に伴い、今年度をもって山陽教区としての事業展開は最後となります。教区教化テーマ「創造と回復―温もりのあるお寺をともに!―」のもと、「人の誕生」「場の創造」として「共に集い・聞き・語る、聞法の道場として本堂を開き、人のつながりと温もりのあるお寺の回復」の具現化に向けて取り組むと同時に、四国教区教化委員会との連携を図り、来年度からの山陽四国教区としての教化事業のあり方を模索してまいります。

また、山陽教区の広報・情報発信部門と四国教区の広報出版班の協力により、共同教化広報誌『かけはしSun・Sea(さんし)』創刊号が、昨年度中の編集作業を経て本年7月に発行されました。両教区の歩み寄りが具体的な形となったことは大変有難いことです。今年度も次号の発行に向けて四国教区と協力の上取り組みます。

第6期山陽真宗学院はいよいよ最終年度となりました。より充実した教師養成の場を開いてまいります。

2021年度に開設された「聞法伝道塾」は、第1期において修了生10名が誕生し、現在は第2期のプログラムを6名の塾生とともに進行しております。聞法研鑚に努め、教区・組・寺院における法話伝道にご活躍いただくことを願っております。

なお、真宗学院並びに聞法伝道塾については、それぞれの運営委員会並びに新教区準備委員会において新教区発足後のあり方について鋭意協議中であります。 

【阪神・淡路大震災30周年】

 明年1月17日に30年の節目を迎える阪神・淡路大震災。2025年1月17日(金)、神戸を会場に教区教化委員会社会問題部門・教区仏教青年会共催にて「阪神・淡路大震災追弔法要」並びに「教区重点課題学習会(阪神・淡路大震災)」を開催いたします。震災後毎年継続して追弔法要を勤めてこられた教区仏教青年会の協力のもと、教区の皆様と一緒にこれまでの歩みを振り返り、加えて能登半島地震における課題を確認するとともに、減災・防災についての学びを深める機会としたく存じます。

【被爆80周年非核非戦のつどい】

 明年は、広島への原子爆弾投下から80年となります。教区教化委員会では、2025年5月17日(土)、広島市のアステールプラザを会場に「山陽教区被爆80周年非核非戦のつどい」を開催する運びとなりました。

これまで山陽教区においては、40周年以降、10年ごとの節目において、宗務総長列席のもと、法要の厳修やつどいが催されてきました。被爆の事実を直に語ってくださる方がいよいよ少なくなっている今だからこそ、このたびの80周年は殊に重要な節目と言えるのではないでしょうか。講師には、三重教区の池田勇諦先生をお招きします。そして本山から大谷暢裕門首夫妻並びに木越宗務総長に同席いただき、教区の皆様とともに非核非戦の願いを確かめる大切な機縁としたく存じます。

なお、このつどいは山陽教区としての最後の節目の事業となります。今後、教区教化委員会に設置する実行委員会において詳細を検討のうえ、ご案内させていただきます。

4 財務について

【2023年度宗派経常費御依頼収納報告及び2024年度宗派経常費御依頼】

 昨年度宗派経常費御依頼については、厳しい経済状況に加え、新型コロナの影響が長引いている中にあって、各位の篤い法義相続・本廟護持のご懇念により、1億4,286万9,600円、率にして103.1%のご進納を賜りました。249カ寺への御依頼に対し、243カ寺の御寺院よりご完納いただき、教区御依頼額を完納することができました。ここに深く感謝並びに御礼を申しあげます。

 今年度は、山陽教区に1億4,051万円が御依頼されました。昨年度に比し206万円の増です。依然として厳しい社会状況が続く中ではございますが、全寺院においてご完納賜りますよう何卒宜しくお願い申しあげます。

【教区の財務】

今年度の教区事業費会計は6,100万円で編成し、昨年度に比べ850万円の増額となりました。先の教区教化において述べました「山陽教区被爆80周年非核非戦のつどい」の開催にかかる経費780万円を計上したことに伴う増額であり、その経費については、山陽教区事業積立金会計からの回付をもって支弁してまいります。

本年度の教区費につきましては、昨年度と同額の896万8,000円を御依頼させていただきたく、お願い申しあげます。

5 姫路船場別院本徳寺の御修復について

姫路船場別院本徳寺宗祖親鸞聖人七百五十回御遠忌の記念事業であります御修復につきましては、第2工事として昨年7月に表門及び築地塀の御修復工事に着工し、明年5月頃に完了する予定であります。

この御遠忌・御修復にかかる特別募財につきましては、崇敬組に対し、2025年度までの8ヵ年で6億6,550万円を御依頼いたし、本年6月末現在で5億4,124万3,917円、率にして81.3%のご進納を賜っております。また、崇敬組以外の寺院・門徒及び一般の方々からの一般懇志につきましては、1億6,700万円の目標額に対し、 1億4,996万円のご進納を賜っております。誠に有難く深く感謝申しあげます。

現総計画においては、いよいよ来年度から本堂の御修復に着手していく予定をしていたことでありますが、当事業を共同で進めております姫路市から、新型コロナ・物価高騰等の影響による姫路市財政の逼迫により、本堂御修復に対する助成には当初計画以上の年数を要するとの 方向性が示されました。

このことから、責任役員会と姫路市による協議の場を複数回持ち、今後の御修復計画について鋭意意見を交わしております。今後も姫路市との協議を重ね、今年度の下半期には御遠忌委員会並びに臨時の院議会を開催し、総計画に関する方針をお示ししたいと考えております。

崇敬組には、今以上の特別懇志の御依頼を行わず御修復計画を進めていくことを前提に協議を進める所存です。何卒、ご理解いただきますようお願い申しあげます。

何卒、今年度も種々ご協力をいただきますようお願い申しあげまして、年度始めにあたってのご挨拶とさせていただきます。