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本徳寺 破損状況報告


   基本調査(破損調査)の実施について 
 船場本徳寺は、1492(明応元)年に本願寺第八世蓮如上人が英賀の浦に道場を開いたのが始まりです。1582(天正10)年に亀山の地に移転、本願寺の東西分派の際には門末は東本願寺に属することとなりましたが、1609(慶長14)年姫路城主池田輝政の命により領内の全ての真宗寺院は西派に属することとなりました。
 しかし、城主となった本多忠正は東本願寺の門徒であり教如上人と親交が深かったことから、1618(元和4)年に地内町に百間四面の敷地を寄進し、東派本徳寺の再建を認め、当時は十三間四面の壮大な御堂が建立されたと伝えられます。
 そして、1718(享保3)年に現在の十七間四面の御堂に改められ、それより後、播磨における真宗門徒の信仰の中心としての重要性を高めてまいりました。
 この間、小規模な修理・営繕を行いつつ崇敬寺院・門徒はもとより、地域の方々によって大切に崇敬護持されてきましたが、本堂をはじめとする諸建物は長年の風雪等により、特に瓦の腐食や木部の腐食が進み根本修理をする時期に来ています。
 このたび、別院では、建造物修復総合整備委員会を中心に、諸建造物は文化財にも指定されているため、姫路市文化財課とも協議しながら、御修復工事を進めるため基本設計(破損調査)を行い、本堂等の破損状況の一部をまとめましたので、ご報告いたします。
 今後、この基本設計(破損調査)をもとに協議を重ね修復への歩みを始めてまいりますので、ご高配を賜りますようお願い申し上げます。
                                                                                                                                            真宗大谷派姫路船場別院本徳寺建造物修復総合整備委員会

 本堂の状況       

享保三年(1718)
築桁行柱間寸法 35,810mm(118尺1寸7分)
梁間柱間寸法   34,668mmn(114尺4寸)
向拝桁行柱間寸法 12,302mm(40尺6寸)
向拝梁間柱間寸法 3,371mm(11尺1寸2分)
軒の出      2,004mm(6尺6寸1分)
軒高       6,667mm(22尺)
棟高       21,587mm(71尺2寸3分)
床面積       1,288,29m2 (389, 7坪)
瓦数       91,045枚
播磨地域の真宗大谷派の別院として建築されただけに、正面の柱12間(約36m)、側面11間(35m)という大規模な本堂である。播磨で真宗系本堂として建築されたものでは当本堂が最大であり、別院という格式の高い寺院の建築としても極めて貴重である。規模だけでなく別院の建築に相応しく、細部に至るまで丁寧な建築である。特に内外陣境や内陣および余間は黒漆と金箔仕上げで、荘厳に造られている。欄間(らんま)の彫刻や蟇股(かえるまた)の彫刻は見事である。外観では妻飾りの大蟇股には脚面に覆いかぶさるように鶴の彫刻を配し、丁寧な造作ぶりを見せている。『姫路市文化財指定理由書一部抜粋』

①屋根瓦は創建当時の瓦が大半で全体的に状態悪化や瓦葺きの乱れ(うねり等)が生じており劣化している。鬼瓦が破損している箇所もあり、棟鬼(むねおに)は銅板で巻いて作られているが、銅板が劣化している。軒は目立った不陸はなく、良好である。頻繁に発生する雨漏りをその都度補修で防ぐ状況である。

② 柱・壁貫には虫害が見られる。壁に塗り込まれて見えない部分でも虫害が発生している可能性が高い。
濡れ縁柱は構造的に動きやすく、傾きが見られる。またこの中には大きな反りをもつ柱もあり、傾きと合わせて、濡れ縁柱に付く高欄(こうらん)が凸凹し、柱通りが通ってい
ない。


③④ 妻飾り(つまかざり)破風板(はふいた)は両面とも腐食が見られる。また屋根重量のためか、本来の位置より沈下が見られる。 左側面の妻飾りは雨掛りとなる前包みや組物に腐食が見られる。右側面は左側面と比べると腐食の程度は少ない。左妻の懸魚(げぎよ)、降懸魚(くだりげぎよ)が破損している。右妻の降懸魚が欠失している。

⑤ 小屋組は傾きは少なく比較的良好な状態だが、一部に問題が生じている。小屋組み北側の妻壁(つまかべ)より1本内側の小屋束(こやづか)が上部で折れ曲がっている。背面右隅付近は、雨漏りによる小屋組の破損を応急的に補強している。小屋貫の継手に緩みが全体に見られる。両妻付近を中心に小屋裏全体が鳩の糞害で汚れ、梁や天井上に糞が積もる。

⑥ 正面の濡れ縁は雨掛かりとなる板先から腐食が進んでいる。広縁の板は桧材の後補材で、釘が緩んでいる。右側面では濡れ縁板、広縁板に汚れた部分がある。

⑦ 高欄は全体に風食している。特に正面左寄りの高欄(こうらん)の破損が進んでいる。

⑧ 向拝柱根巻飾金物の飾りが欠失している。

 

 

 

⑨ 唐戸の藁座金物(わらざかなもの)全体的に破損が見られる。

⑩ 床組全体としては、良好な状態である。一部の床貫に腐食や破損が見られる。濡れ縁柱と広縁柱を繋ぐ大引の濡れ縁柱の仕口(しぐち)を見ると、一部に仕口の腐食が進んでいるものがある。

地盤調査でPS検層を実施、PS検層とは地盤の強度を調査するもので、本堂修復時の耐震補強の設計に使用します。本堂周辺の地盤は、「第一種地盤(硬い層地盤)」という結果でした。


 大玄関の状況


延享四年(1747)築
桁行柱間寸法  9,023mm (29尺7寸8分)
梁間柱間寸法 11,240mm (37尺9分)
軒の出        1,584mm(5尺2寸7分)
軒高          4,412mm(14尺5寸6分)
棟高          8,478mm(27尺9寸8分)
床面積        85,01m2 (25.7坪)

 

 

 

別院では格式から大玄関が設けられる。正面を飾る唐破風は見事で、細部の意匠が時代の傾向をよく表している。唐破風の虹梁状頭貫の若葉を付けた渦の絵様、その中央の笈形(おいがた)などに特徴がよくあらわれ、玄関の格天井も丁寧な仕事ぶりである。
由緒寺院の格式に相応しい丁寧な造りの建物である。『姫路市文化財指定理由書一部抜粋』

① 屋根瓦は全体的に緩み、瓦は劣化し、欠落箇所や唐破風棟の鬼瓦付近が沈下する。

 

 

 

② 小屋裏からは雨漏りの発生した箇所で棟木や母屋等の上面が腐食している可能性がある。軒先は大きく波打ち、桔木(はねぎ・軒を吊る材料)が効いていない。

 

 

③ 柱はばらばらに傾き、貰が緩んでいる可能性が高い。柱の沈下に伴い、貫が不陸し虫害が見られる。唐破風正面柱礎盤(そはん)は木製のため、重みでつぶれている。

④ 各所で雨漏りが発生した跡が残り腐食している。外部の漆喰仕上げは、剥離(はくり)が進んでいる。

 

 

 山門の状況

十七世紀中期(推定)築
桁行柱間寸法4,483mm(14尺7寸9分)
梁間柱間寸法4, 036mm(13尺3寸2分)
軒の出       1,622mm(5尺3寸5分)
軒高         4,193mm(13尺8寸4分)
棟高         7,324mm(24尺1寸7分)
南袖壁  全長11.97m、
本瓦葺、東西妻面切妻造、本瓦葺
北袖壁  全長12.3m、
本瓦葺、東西妻面切妻造、本瓦葺
全体に装飾の少ない簡素な四脚門である。細部の彫刻などは控えめであるが、正面の墓股(かえるまた)の脚面の全面にはみ出す龍の彫刻が飾られている。その他、側面の墓股は外側は兎と波、内側は亀と波で飾られ、内側に下がり藤の紋様を刻んでいる。簡素で優れた細部を持った四脚門として貴重である。
『姫路市文化財指定理由書一部抜粋』

① 根瓦は全体的に緩み、瓦は劣化している。右側鬼瓦の鰭(ひれ)が欠失している。背面中央部軒先に雨漏りによる破損が見られる。小屋組は棟に不陸があることから、棟木が破損している可能性がある。

② 正面右側礎石が沈下し、両親柱の礎石の一部が風化している。土間敷石および雨垂石に不陸が発生しているとともに、蹴放(けはなし・扉の敷居)下の延石も風化している。

③ 袖塀(そでべい)は屋根・壁・軸部の全体におよび、根本修理が必要な状況である。屋根瓦は全体的に緩み、瓦は劣化している。北袖壁の正面妻部は瓦が落下している。軸部は、接する南側の地盤が塀より高く、雨水が流れ込み、木部が腐食し、中央が大きく沈下する。柱間装置・仕上げ瓦の破損により、妻部や谷部には雨漏りが発生し、破風板(はふいた)や軒先などの木部に腐食が見られる。

破損状況報告パンフレットPDF版

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